28巻1号 (2011年6月) |
28巻2号 (2011年9月) |
28巻3号 (2011年12月) |
28巻4号 (2012年3月) |
28巻5号 (2012年6月) |
28巻6号 (2012年9月) |
28巻7号 (2012年12月) |
28巻8号 (2013年3月) |
具体的な研究方法としては,明治以降の文学作品14種を選んで,これらの文学作品の中に現れる可能表現形式を,「全体」「会話文」「非会話文」別に集計した.「全体」「会話文」「非会話文」をさらに動詞の活用型別に分け,各可能表現形式の動向を調査した.時代別・各形式の状況については,田中章夫の期待値偏差(時代別,各形式の偏りを,期待値からの偏りの比率としてとらえるという考え方)で分析した.
その結果,時代とともに「可能動詞」の出現率が高くなり,「レル・ラレル」「コトガデキル」の出現率は下がっていた.また「五段動詞」における「可能動詞」の増加,「一段・カ変動詞」における「ラ抜き言葉」の出現,「サ変動詞」における「可能のデキル」の増加が確認できた.これは,可能専用の動詞の拡大と見受けられる.
本稿では,現代の新聞コーパス(23年分)を資料として,略語の使用を,そのもとになった原語の使用とともに経年的に調査した.略語使用率の変動傾向をもとに,略語と原語との間の量的な関係として4つの事例が見られた.すなわち,
今回の調査は,いまだ事例調査の段階にとどまるものであって,得られた4つの事例は「類型」と呼ぶまでには至っていない.より多くの略語・原語を対象とした広範な調査が必要である.
Realisierung der valenzbestimmten Korrelate desDeutschen. K. Fischer, E. Fobbe, S. Schierholz (Hrsg.)
Valenz und Deutsch als Fremdsprache
本稿では,従来研究がなかった慇懃無礼にあたる言語行為について, その原型は何か,受け手の属性によって慇懃無礼の理解に違いがあるかを考察する. 慇懃無礼の原型を構成する要素として,言葉や態度の丁寧さに関して「改まり度」が高い,表面と内心のずれに関して「ありのまま度」が低い,受け手に与える印象に関して「好印象度」が低い,の三つを考えた.そして,それら三つの要素が多く満たされるほど「慇懃無礼」の用法が適切になるという仮説を立てた.各種コーパスの用例の分析に基づいて慇懃無礼に五つの類型があると仮定し,質問紙調査を行った.
調査は2回に分けて実施し,学部生調査では,Aさんが誰かから何かを言われたという状況を設定して,その発言がどの程度「改まり度」「ありのまま度」「好印象度」を満たしているかを計32状況について各7段階で判定させた.院生・教員調査では,学部生調査で使用したのと同じ状況の発言がどの程度「慇懃無礼」に感じられるかを同様に判定させた.調査結果を類型と回答者の属性の観点から分析したところ,いずれの調査においても原型に関する仮説は支持された.さらに,二つの調査から20代の回答者だけを取り出し,20代院生の「慇懃無礼度」と,20代学部生の「改まり度」「ありのまま度」「好印象度」から算出した理論的な「慇懃無礼度」との関連を考察した.
最後にポライトネス理論における慇懃無礼の扱いの問題点を指摘した.
新聞や若者雑誌において,和語や漢語(すなわち,非外来語)のカタカナ表記の使用が増えているという先行研究の指摘を受け,書籍テキストデータを数多く収録した『現代日本語書き言葉均衡コーパス』を用いて,書籍における表記の使用実態を調査した.その結果,先行研究と同じくカタカナ表記率の高い語がある一方,ひらがな表記率や漢字表記率が高い語もあり,表記の実態は,新聞,雑誌,書籍といった媒体で差があることを明らかにした.
また,カタカナ表記になりやすい語のタイプ(「表外漢字」「表外音訓」「表外熟字訓」などを含む語,動植物名の語,擬音語・擬態語,第一義でない意味の語,特別な意味を加味する用法の語)やケース(強調用法のある場合,同字語を避けたい場合,音を明示したい場合)別に使用実態を分析した.その結果,同じ語のタイプやケースによっても,カタカナ表記率の高い語とそうでもない語とがあり,表記の使用傾向は個々に吟味,分析が必要であるという点を捉えることができた。つまり,表記情報というものは語別の情報であり,辞書に個々に記述すべきものであること,そして,大規模コーパスの用例分析から得られる個々の語の使用状況は,そのまま辞書の見出し語の表記情報の充実に役立つものであることを十分に示し得ることができた。
次に,抽出された日本語借用現象の出現度数が1である低頻度語彙は,全体の約 60%を占めている.その一方で,出現度数10以上の高頻度語彙が23あり,5篇以 上の小説に出現した広範囲語彙が15あり,この両者に重ねて現われた高頻度・広 範囲の14語を,台湾文学作品に見る「最重要な日本語借用現象」と見なすことが できよう.
しかし、その相対評価は、2010年に行われたGoogleとYahoo!の技術提携の結果 として意味を失った。Yahoo!はその検索機能をGoogleに依存して提供するように なり、両サーチエンジンの表示する検索結果は事実上共通となった。このことは、 Yahoo!検索が持っていたGoogleに対する量的、質的な優位性を失ったことを意味 する。その経緯と昨今の状況を過去4年間のヒット件数の観察に基づいて報告する。
対象資料は,『『現代日本語書き言葉均衡コーパス』モニター公開データ(2009 年度版)』のうち,均衡性を考慮した「出版(流通実態)サブコーパス」と「図書館(生産実態)サブコーパス」である.なお,資料の質を高めるために,対象から取り除く構造的条件を七つ定め,データの絞り込みを行った.また,反復は種々の品詞で起こるが,本稿では様々な結束性のあり方と関わる点で汎用性があり,それ自体で意味上の関係性を見出せる名詞の反復を分析対象とした.
分析の結果,反復語となる名詞は,文章全体の名詞に対しておおよそ4%から61%を占め,平均的には25%程度を占めた.この結果から,反復語は文章中においてほとんど用いられないことがある反面,ほとんどが反復語である文章は見られず,文章が作られる際には最低でも40%程度は新出語を使用することが分かった.
また,分析から得られた実際の文章の様相を考察したところ,反復語が非常に少ない文章では地の文で一人称表現が用いられるものが過半数を占め,反復語が非常に多い文章では法律文書やその手引書のような文章が多く見られた.
話者分類の結果,当該地域アクセントは「埼玉特殊アクセント的話者群」「準埼玉特殊アクセント的話者群」「準共通語・東京中心部アクセント的話者群」「共通語・東京中心部アクセント的話者群」の4群に分類された.また,それぞれの群を分化する特徴として,
以上を踏まえて,当該地域アクセントは「埼玉特殊アクセント的話者群」⇒「準埼玉特殊アクセント的話者群」⇒「準共通語・東京中心部アクセント的話者群」⇒「共通語・東京中心部アクセント的話者群」を経て共通語・東京中心部化したという変化プロセスを推定した.
テクスト生成語彙表を公表する意義はひとえに教育にある。つまり、日本語・日本文学科の学生にシャノンの情報理論を講義だけで理解させるのは不可能なので、具体的な歌詞の合成作業の体験を通して、その原理を理解させることに主眼がある。