31巻1号 (2017年6月) |
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31巻8号 (2019年3月) |
本稿では様々な言語要素の中から,「接続表現」に焦点を当て,「接続表現辞典」構築を目指す.はじめに文章全体を見据えた視点から「接続表現」という語を定義した後,大規模コーパスのテキストデータから人手とシステムの両方の方法で「接続表現」568項目を選定し,自動判定の必要性と問題点を述べた.最後に「接続表現」568項目からレジスター判定を人手で行い,学習者が目的とする論文にふさわしい表現が「接続表現辞典」の構築によって獲得できる可能性を示した.
それぞれの問題について解説と,考えうる対策を論じた.とりわけ,言語的分析に関する問題では,ランダムサンプリング法以外の調査方法論による結果と併用することで,各々の調査法の欠陥を埋め合わせて真実に接近しうることを述べ,複数調査法を組み合わせた国内外の調査実例を紹介した.
その結果,全回答のうち7.7%が指示に従わない不良回答であり,チェック項目で2ヵ所以上に不正な記入をした,あるいは無回答だった26人は,他の質問に対しても多数派と異なる回答をする傾向が認められた.
この結果は,質問調査の場合,一部に指示に従わない回答者がいて,そういう回答者の回答を多数のまじめな回答者の回答と一緒にして集計することは問題であることを示している.最近は,回答の質が低下している事態になっており,質問調査を行う者はそのことを考慮しながら分析を進める必要がある.